ワクチン接種直後の運動は数週間後の抗体反応を増加させる

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アイオワ大学の研究チームは新たに、ワクチン接種直後の90分間の運動が数週間後の抗体反応が高まる可能性があることを報告した。結果はBrain Behavior and Immunityに掲載された。

これまでもインフルエンザワクチン接種前の運動によって、IL-6の増加に伴う抗体反応が増大する可能性等が報告されてはいたが、その結果はまちまちで十分な効果を得るための運動時間や強度、運動の種類等の特定が必要とされていた。そこで著者らは、ヒトとマウスを用いた複数のモデルを用いて予防接種直後の有酸素運動の最適量を確認するための研究を計画した。

対象となった成人合計68人およびマウスには、HIN1pdm09ウイルス、一般的なA型インフルエンザウイルス、SARS-CoV-2に対するワクチンを投与し、運動群と対照群にランダムに割り当てられた。SARS-CoV-2に対するワクチンにはファイザービオンテックBNT162b2が採用された。

ヒトおよびマウスからは免疫前、免疫2週間後、4週間後のそれぞれの時点で血液サンプルが採取され、Covid-19試験では、3週間間隔で2回目のワクチンを接種し、2回目のワクチン接種日には運動を控えるよう指示された。

運動群に割り当てられた参加者は、ワクチン接種後30分以内に年齢予測最大心拍数の60~70%を目安とする軽度~中程度の強度でエルゴメータを用いた運動を45分または90分間行った。残りの半数の参加者は座った状態でビデオを視聴した。同様に、マウスにもワクチン接種後30分以内に45分、90分、180分のいずれかの時間トレッドミルでのランニングを始めさせた。

結果、90分間の運動をした参加者は他の群に比べて2週間後、4週間後のいずれの時点でも抗体レベルが有意に高かった。一方45分の運動では運動を行わなかった参加者に比べて有意な抗体レベルの上昇は確認されなかった。この傾向は年齢によらず同様に確認された。

また特筆すべき点として、ワクチン接種直後に90分間の運動をしても、運動をしなかった場合に比べて副作用を有意に増加させることはなかった。

マウスモデルの実験によれば、90分間の運動をした場合に抗体レベルが最も高く、それは45分または180分間の運動による効果を上回っていた。また、抗IFNα抗体の投与によらず同様に90分間の運動によってIgG、IgG1、IgG2aレベルの向上が確認されており、メカニズム解明のヒントにもなるかもしれない。

ただし45分間の運動条件はインフルエンザワクチンのみでテストされているため、Covid-19に対しても無条件に適用することはできない。また、十分な効果を得るために60分でいいのか、はたまた75分必要なのか、運動強度を増やせば運動時間を短縮できるのか等に関してはさらなる研究が不可欠である。

さらに、サンプル数の少なさやブースター接種における適用、抗体反応の増加が免疫後いつまで持続するかが不明であるという点も当研究の限界として挙げられる。

先行研究ではワクチン接種前後の運動で副作用の増大が確認されているため慎重な判断は必要なものの、特別な器具等も必要としないことからワクチンと直後の運動をセットにしてみるという選択肢もありなのかもしれない。

原題は「Exercise after influenza or COVID-19 vaccination increases serum antibody without an increase in side effects」、Brain, Behavior, and Immunity誌で閲覧できる。

Tomohiro Okugawa

科学的知見を自分の体で試して、日常生活に活用していく人。知識の収集が趣味で一般向けにその共有をしたいと思って執筆中。京都大学環境衛生学等。

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