ステイホームで交通事故はどのくらい減った?経済効果に換算するといくら?という研究の話

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「ロックダウン期間に交通事故の数ってどのくらい減っていたの?」って研究(R)が出ておりました。ステイアットホーム命令が出ていたことによって人流は抑制され、交通事故が減るのも当然では?って気もするかもですが、パンデミック後の交通事故減少のためにも示唆に富む内容の論文だったのが簡単に紹介しておきます。

交通事故は身近な危険の一つですから、そのリスクが減ってくれるに越したことはないですからねぇ。

これはルイジアナ大学などの研究で、ルイジアナで企業や学校の閉鎖、州内の移動制限が行われた2020年3月~5月とそれ以前の交通データを比較し、「ロックダウンで交通事故がどのくらい減るのか?」「その効果が大きく出やすいドライバーの種類とかってあるのか?」ってところを調べてます。

日本でも同様の結果が言えるかどうかは個別の検討が必要だし、2020年5月以降にどのくらい当てはまるのか?とかも謎なんですけど、事故に関連する複数の要素からの検討が行われている点で全体的には貴重なデータだと申せましょう。

というわけで、分析の結果はこんな感じになりました。

  • ステイアットホーム命令が出ていた当該2か月間に、交通事故が約半分に減少していた。具体的には、全体の交通事故が47%、けがを伴う事故が46%、救急車が出動した事故が41%減少していた
  • しかし、死亡者が出た事故は減少しなかった
  • 25~64歳、男性、非白人のドライバーの人たちでは2か月間の交通事故の減少率が小さかった。これは、彼らの仕事上の特性に由来している可能性がある(リモートではできない仕事についているとか)
  • 2か月間の交通事故の減少率は、ラッシュアワーと日中に特に大きかった。また、都会やCovid-19の症例が多かった地域ほど減少率が大きかった

交通事故が半分にまで減るってあたりはちょっとびっくりっすね。研究チームはさらに、交通事故の減少がもたらす経済効果も計算してまして、それによると、

  • 3か月でルイジアナでは2.89億ドルの費用削減につながった
  • 国全体に換算すれば、全国で210億ドルもの削減に相当する

この研究では交通事故だけですけど、出勤によるストレスに起因するメンタルヘルスや環境負荷等を考慮すればその額がもっと増えるのは想像に難くないですよね。

研究チーム曰く、

公衆衛生上の危機により運転する人が減少すれば、事故が減るのは当然と思われるかもしれないが、その影響の正確な大きさと誰に最も影響を与えているかという情報は、国民、研究者、政策立案者にとって同様に重要で有益である。

Covid-19の大流行から得た新たな教訓は、在宅勤務の推進が交通渋滞の緩和に有効かもしれないということである。通勤者が減れば、事故だけでなく、公害、健康、時間のロスなど他の交通外部要因に与える影響も大幅に減らすことができる。

とのこと。どうにかして渋滞を減らそう!って動きは日本でも盛んにおこなわれていますけど、今回の研究では、シミュレーションではなく大規模な実際の事例を用いて渋滞緩和による交通事故減少の効果を再確認できたわけですな。

日本は米国よりも渋滞がひどいんで、渋滞緩和の効果はさらに大きい可能性もあります。日本の行政様には、今回のパンデミックで得られた貴重なデータを最大限に活用していってほしいですねぇ(どこまでの情報を取得できているのかは知りませんが)。

Tomohiro Okugawa

科学的知見を自分の体で試して、日常生活に活用していく人。知識の収集が趣味で一般向けにその共有をしたいと思って執筆中。京都大学環境衛生学等。

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