【最新コロナデータ3選】VRでワクチン促進、感染で糖尿病発症リスクアップ、重症者は1年後も免疫細胞持続

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最近出てた新型コロナ関連のデータを3つほどまとめておきまーす。

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VRをはやらせればワクチン接種率が向上するのでは?

「どうやったらみんなワクチンを打ってくれるんだろう?」ってのはいまだホットなテーマの一つ。ワクチンを打つか否かはあくまで個人の意思決定によるものである一方、感染拡大を防ぐには人口の60~90%ほどの人がワクチン接種を完了しなきゃいけないなんてデータもありますもんね。

そんなところで新しいデータ(R)では、「VRでワクチン接種のためらいを克服できるのでは?」ってな話になってて面白かったです。

ワクチン接種を躊躇する要因としては、専門家への信頼性の欠如、自己満足、コンプライアンスの欠如、連帯責任感の不足、フェイクニュースの存在、なんかが確認されてます。しかし集団免疫についての周知でワクチンを接種してもいいかな…って気持ちに変えられるかもよ!ってことが報告されているのも事実。つまり、自分のワクチン接種がほかの人に与える影響を理解させることでワクチン接種のためらいを克服できると考えられてまして、どうやったらうまく理解させられるのだろう?ってことが議論されてるわけっすね。

で、これはコペンハーゲン大学などの研究で、コペンハーゲンの公園を通りかかった222人が対象。実験の大まかなデザインは以下のような感じです。

  1. 参加者の3分の2はVRで集団免疫にまつわるシミュレーションをしてもらい、残りの3分の1の参加者にはテキスト・画像ベースで集団免疫についての情報を学んでもらう
  2. VR群の人たちには、健康でワクチンを接種した人は青、感染した人は赤といった具合に色分けされているシミュレーションの中で感染せずに目的地まで到達する、みたいなゲームに挑戦してもらう(以下の画像のようなイメージ)
The busy square scene in VR, with feedback graph showing the number of infected, healthy and vaccinated characters.


でもって、両テストグループのワクチン接種の意志と連帯責任の感覚を測定したところ、

  • VR群の人たちはワクチン接種の意思を9.3ポイント増加しており、これはテキスト・イメージ群よりも高い効果だった(3.3ポイント)。また、集団的責任感を増加させる効果についてもテキスト・イメージ群よりも高かったことが確認された
  • また、テキスト・イメージ型の介入の後にVRの介入を受けた参加者のワクチン接種意思はさらに上昇していた。一方、VR後にテキスト・イメージ型の介入をしてもさらなる向上は見られなかった

だったそうです。つまり、ゲーム化されたVRでの学習体験が健康的な人々に対するワクチン接種の障壁を克服するのに役立つんじゃない?ってことが示唆されたわけっすね。

また、予想通りVRで集団免疫を学んだ人の方がテキスト・画像で学んだ場合よりも楽しかったと回答したらしく、従来のチャネルよりも高いポテンシャルを感じさせられましたね。

もちろん、「本当にワクチン接種に行くのか?」とかは分からんし、他の集団でどこまで適用できるかとかは謎です。しかし、ワクチン接種を拒む人に口や文章でワクチン接種をおすすめしても逆に「絶対ワクチンなんて受けないぞ!」と意見を固めてしまうことも多いんで、何も言わずとにかくVRゲームで遊んでもらう、ってのはありかもしれないっすね。

Covid-19の感染は糖尿病発症リスクも高めるのか?

心不全、認知機能、生殖機能の低下等、long Covidは体中のいろんな場所に不調をきたすってことは多く報告されてますが、最近のデータ(R)は「コロナの感染で2型糖尿病リスクが高まるかもよ!」って話になってました。

これは、ドイツ全土の代表的なパネルを使い、2020年3月から2021年1月までの患者さん880万人のデータを分析したもので、フォローアップは2021年7月まで行われたそう。対照群には同じくウイルスが原因となることが多いAURIの患者さんを選んで、SARS-CoV-2感染後の糖尿病発症率をチェックしてます。

参加者のうち副腎皮質ステロイド治療を受けている人は除外し、性別、年齢、診断日、肥満、高血圧、コレステロール、心臓発作、脳卒中等の要素を調整した結果、以下のようなことが分かったそう。

  • 研究期間中、35,865人がCovid-19と診断された
  • Covid-19群では、AURI群に比べて2型糖尿病を発症する相対リスクが28%高かった(年間1000人当たり15.8人)

って感じだったそう。個人的には、SARS-CoV-2に感染しても軽症の場合にはそこまで糖尿病は問題にはなりにくいけど、一応Covid-19回復後は疲労、頻尿、口の渇き等には注意しておいた方がいいかもしれないかなーってくらいに思いましたね。

また、先行研究ではCovid-19感染後、ヒトのβ細胞でインスリン分泌顆粒数が減少し、グルコース刺激によるインスリン分泌が損なわれることも確認されてます。さらに、サイトカインの持続的な放出で脂肪組織等のインスリンの効果を損なう可能性も指摘されてまして、代謝の変化がいつまで続くのか、ってなところは今後も注目していきたいところです。

重症Covid-19患者は一年以上にわたってメモリーT細胞を保持している

重症のCovid-19は免疫系の機能的な変化を伴うため、重症者がSARS-CoV-2に対して強固で耐久性のある記憶免疫応答を誘導できるかといったところの理解は非常に重要になるわけです。そんなところで新しい研究(R)では、重症患者さんの回復可能における抗SARS-CoV-2メモリーT細胞反応を評価し、さらにICU入院中に観察された免疫機能不全の特徴を調べてくれていて、勉強になりました。

これはSARS-CoV-2肺炎でICUに入院した重症のCovid-19患者さん16名を対象にした研究で、ICU滞在中と退院後9か月および13か月後に血液を採取。その際にリンパ球数、単球上のHLA-DR発現量、IL-6、IL-10、抗SARS-CoV-2抗体、SARS-CoV-2スパイクタンパク、核タンパク、膜タンパクに対するT細胞応答を測定して、急性及び長期的な免疫応答を評価したんだそう。

その結果、どんなことが分かったかといいますと、

  • 全患者さんで、単球のHLA-DR発現量低下、リンパ球(B細胞、NK細胞、CD4+およびCD8+T細胞)の血中濃度の低下、炎症性及び抗炎症性サイトカインの上昇を確認できた。これらの反応は入院直後に最も高く、ICU入院中に減少し、さらにすべてのパラメーターが追跡期間時に正常なレベルに戻っていた
  • 全例でICU入院中にSARS-CoV-2 Nタンパク質の血漿中濃度が高かったが、その後急速に低下した。一方抗SARS-CoV-2抗体価は入院後1週間で緩やかに上昇した。4名の患者さんをのぞき、ICU入院中にウイルスRNAが検出されることはなかった
  • フォローアップ時、すべての患者さんでテストしたすべてのウイルス抗原に対してCD4+およびCD8+T細胞応答を示した。抗SARS-CoV-2T細胞の頻度は、ワクチン接種した人と感染歴のある人とで同様だった。また、T細胞反応は、入院期間が長い患者さん(30~119日)の方が高い頻度で観察され、より深刻な免疫機能障害が確認できた。しかし、抗体反応は入院期間によって有意な差はなかった

だったそうです。特に押さえておくべきポイントとしては、重症のCovid-19患者さんがSARS-CoV-2に対するメモリーT細胞応答を生成する能力があって、それが退院後1年たっても確認できたよ!ってところっすね。もちろんサンプル数が少ないし、ワクチンによる効果の解釈もはっきりしないところがあるのも事実ですが、グッドニュースといってよいのではないかと。

Tomohiro Okugawa

科学的知見を自分の体で試して、日常生活に活用していく人。知識の収集が趣味で一般向けにその共有をしたいと思って執筆中。京都大学環境衛生学等。

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