感染によるメンタルへの影響って重症度によって違うんじゃない?問題を調べた過去最大規模の研究

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心身におけるlong Covidは今後注意していくべき問題でありますけども、特に軽症者や無症状者のメンタル的な問題はまだまだこれからといったところ。というのも、これまではCovid-19感染者のメンタル面での問題を調べた長期的な研究というと長くても6か月ってくらいで、それ以上長くなるとどうなるの?ってあたりがわからなかったんですよ。



そんなところで新しいデータ(R)では、「最大16か月にわたって感染者のメンタルヘルス症状を調べてみたよ!」って内容になってて参考になりました。さらにこの研究では非入院患者についても追跡を行っていて、この辺もこれまでデータ不足だったところなんでありがたいっすね。

この研究はデンマーク、エストニア、アイスランド、ノルウェー、スウェーデン、英国の7つのコホートを用いて行われてまして、合計247,249人を0~16か月間(平均5.65か月)にわたって追跡。そんで、うつ、不安、Covid-19関連の苦痛、睡眠の質といったあたりをチェックしたんだそう。Covid-19感染によるメンタルへの影響を考えるうえでなかなかに役に立ちそうな匂いが漂ってますな。

期間は2020年3月27日~202021年8月13日で、SARS-CoV-2感染の指標としてはRT-PCR、抗体検査の結果が使われたらしい(自己申告)。全対象者の4%に当たる9,979人が期間中に陽性と診断され、そのうちの22.3%(1613人)が7日以上の寝たきりを経験していたみたい。



でもって年齢や性別、教育、喫煙習慣、BMI、精神疾患の罹患歴等を調整したところ、どんなことが分かったかと申しますと、

  • 全体的に、Covid-19陽性者はうつおよび睡眠の質低下のレベルが高かった(それぞれ18%、13%)。この結果は、Covid-19陽性と診断される前にアンケートにも回答していた人だけに絞った場合でも同様だった。一方、不安やCovid-19関連の苦痛に関しては有意差が確認されなかった
  • Covid-19と診断されたが寝たきりにならなかった人は、Covid-19と診断されていない人に比べてうつや不安の症状を経験する確率が低かった(それぞれ17%、23%)。一方、7日以上の寝たきりを経験した人は、Covid-19と診断されていない人に比べて、うつや不安、睡眠の質低下の割合が高かった(順に61%、43%、41%)
  • うつやCovid-19関連の苦痛などのメンタルヘルス症状が時間の経過とともに明らかに減少していた。が、7日間以上寝たきりを経験した人は、一度も感染しなかった人に比べて一貫して50~60%ほど高いうつや不安を抱えていた

ということで、「Covid-19の重症化は精神衛生上の悪影響を長期的に高めるっぽいぞ!」って結果ですね。

「なんで重症だと長期間にわたってメンタルの問題が続くのか?」って問題についてのメカニズムははっきりしませんが、研究チームは以下のようなポイントを想定しておられました。

  • 長期的な炎症反応等による生理的な問題のみならず、「大事な人にこんな大変な病気を移してしまうかも」「もうすぐ死んでしまうかも」といった不安が膨れ上がりやすいのかもしれない。また、人との接触の制限によって孤独感や無力感を増強している可能性もある

どれもうつになる前の人に見られる兆候としてもよく確認されてるポイントっすね。逆に、陽性だったけど1週間以上の寝たきりほどの症状は経験してないって人では、非陽性者よりも一貫してメンタルが安定してたってのも面白いポイントで、これについては、

  • マイルドな症状さえ克服したら、緊張が解けて非陽性者よりもパンデミック前の「普通」の生活に戻りやすいのかも
  • そもそもメンタルで重大な問題を抱えにくい人は、Covid-19の症状も重症化しにくい可能性もある

ってことで、確かに漠然とした不安や恐怖に取りつかれている人よりも一度かかって「まあこんなもんかー」ってなった方が安心して暮らせるのはわかる気がしますな。また、後者の可能性についても、「過去に精神疾患にかかったことがある人の方がCovid-19の感染リスクが高いぞ!(R)」なんてデータもあっていかにもありそうって感じ。ただし今回の研究では精神疾患歴の絶対差異はいずれのコホートでも4%を超えることはなく、結果の解釈に影響を与えるほどのものではなかったんで、はっきりは分からんところではありますが。

そのほかのこの研究の主な注意点としては、

  • Covid-19陽性とメンタルヘルス症状に関しては自己申告のデータを利用しており、両者にある程度関連性が見られている
  • 回答期間が2020年4月~20201年8月と長期にわたっているせいで、タイミングによってCovid-19に対する不確実性の認識や恐怖感等が異なっている可能性もある。また、ワクチンの登場や複数回の変異の期間とも重なっている
  • Covid-19と診断された人は平均的に若く、高齢者の一部が見落とされているのでは?って問題がある

といったところがあげられてまして、当然のことながらまだまだこれからの研究とのすり合わせが必要となりそうっすね。

てなわけで、結論としては、「同じ感染者でも重症度によって長期的なメンタルへの影響は変わってくるぞ!」「特に重傷だった場合には感染から1年以上たってても注意が必要かもよ!」ってあたりを抑えといていただくといいんじゃないかと。

参考になれば幸いです。それではまた!

Tomohiro Okugawa

科学的知見を自分の体で試して、日常生活に活用していく人。知識の収集が趣味で一般向けにその共有をしたいと思って執筆中。京都大学環境衛生学等。

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