パンデミックで世界の平均寿命はどう変わったのか?って研究

FavoriteLoadingAdd to favorites

「新型コロナのパンデミックが平均寿命にどんな影響を及ぼしたのか?」ってなことを推定した初めての研究(R)がPopulation and Development Reviewに掲載されてました。

4
Rated 4 out of 5

これはUCLAのCalifornia Center for Population Research 副所長で社会学教授のPatrick Heuveline先生の研究で、アッパーミドルおよび高所得国約100か国の平均寿命を分析したもの。分析には1950年~2019年までの国連のデータと、2020年及び2021年末までの各国の超過死亡数のデータが使われてまして、これらを使って2019年~2021年の世界的な死亡率のトレンドを追及しております。

で、さっそくその結果を見てみるとこんな感じになりましたー。

  • 世界的な平均寿命は2019年から2020年の間に0.92歳短くなり、さらに2020年から2021年の間に0.72歳短くなった!2021年の平均寿命は2013年のレベルまで落ち込んでいた
  • 4半期ごとで見てみると、2021年の第4四半期には平均寿命の低下の傾向がストップしているように見える(が、一部の国では依然としてパンデミックの影響が大きくなっている一方、他の国ではパンデミックの影響が弱まることで相殺されているだけかもしれない)
  • 南米、ヨーロッパ、アジアなど、分析に含まれた半数以上の国でこの2年間で2歳以上の平均寿命の短縮が確認された。一方、どの時点でも2年以上の平均寿命短縮が認められなかったのはごく一部の国だけであった(東アジアの一部、オーストラリア、ニュージーランドなど)

改めて以下のグラフで確認してみても、一貫して上昇していた平均寿命が2019年以降一気に減っていることがはっきり見て取れますな。

Details are in the caption following the image
世界の平均寿命が2019年以降一気に減少に転じている/ Global and National Declines in Life Expectancy: An End-of-2021 Assessment



世界の平均寿命が減少傾向に転じたのは国連が平均寿命の推定を始めた1950年以来初めてのことらしい。国単位で見ても平均寿命が短くなったってのはレアかつ局地的なものだったそうで、1970年代のカンボジア、1990年代のルワンダ、AIDSのパンデミックの時くらいしか事例は見つからないみたい。こうしてみても、やっぱり今回のCovid-19のパンデミックって相当影響デカかったんだなーって実感しますね。

ちなみに2019年の国連の推定では、2020年までに0.18歳ほど世界の平均寿命は延びるとされていたそうで、これも合わせると推定よりもまる2年平均寿命が短くなったといえますな。

まあこの手の推定では不確実性がつきもので、完全とは言えないわけですけど、研究者曰く、

世界的な平均寿命の減少を確信をもって数値化するにはまだ時期尚早であるが、この減少はパンデミックによって引き起こされた死亡率の変化を示すユニークなものであり、既に疑いのないものといえる。

とのこと。数字は多少前後するかもしれないけど、パンデミックで平均寿命が短くなったって可能性は極めて高そうだぞ!ってわけっすね。

というわけで、世界の平均寿命に対するパンデミックの影響がピークに達したって結論付けるのはまだ早いかもですが、間違いなく今回のパンデミックは1950年以降初めての事態だし、今後も同程度の規模の影響が発生するのをお目にかかれる機会は少なそうだぞーってことで。

参考になれば幸いです。それではまたー。

Tomohiro Okugawa

科学的知見を自分の体で試して、日常生活に活用していく人。知識の収集が趣味で一般向けにその共有をしたいと思って執筆中。京都大学環境衛生学等。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

求む──私たちと一緒にエビデンスを発信しませんか?
Homo Evidenceライターになる
あなたが持つリテラシを発揮してみませんか?
Homo Evidenceライターになる