Covid-19から回復した人の血液で入院リスクを54%下げられるぞ!って研究

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Covid-19感染者をどうやって治療しよう?ってのが大きな問題なのは周知のとおり。現時点ではモノクローナル抗体等が使われてますけど、低・中所得国では入手が容易ではなかったり、耐性を持つ変異型が登場する可能性も大いにありますからねー。

そんなところで昨日NEJMに掲載されてた論文(R)では、「Covid-19から回復した人の血漿の投与で入院リスクを半分にできるぞ!」ってな結論になってて参考になりました。この研究は昨年末にプレプリントが発表されたときにも話題を呼びましたが、新たな分析結果も含まれてたので、あらためて取り上げてみることとします。

ちなみに、血漿や血清の投与自体は100年以上前から実践されてきた治療法なんですけど、殊SARS-CoV-2に対しては、実験デザインの不十分さなんかも絡んで結果が一貫していなかったんですよね(RR)。そんななか、今回のRCTは比較的参加者も多いし、二重盲検化もされてるんで、現時点で最も信頼できるデータの一つといえるのではないかと。

具体的な実験の内容はこんな感じです。

  1. 2020年6月から2021年10月の間にSARS-CoV-2陽性と診断された18~84歳の男女1,181人が対象(平均年齢43歳)
  2. 全員には、陽性と診断されてから9日以内に、ⅰ)Covid-19から回復した人の高力価血漿、ⅱ)プラセボ血漿(SARS-CoV-2抗体なし)のいずれかを無作為に1回投与する
  3. その後28日間追跡して、両群の入院リスクや安全性をチェック

みたいな流れになってます。参加者のうち57%が女性で、そのうちの3人は妊娠中だったらしい。これまでは重症化リスクが高い妊娠中の女性への血漿投与は避けられがちだったんで、その点でも結果が気になる実験といえるのではないかと。

で、結果はこうなりましたー。

  • プラセボ血漿を投与された人589人のうち37人(6.3%)がコロナ関連で入院したのに対して、Covid-19から回復した人の血漿を投与された592人のうち17人(2.9%)が期間中に入院した
  • この結果は、性別、年齢、BMI、ワクチン接種の有無、高血圧、糖尿病等を調整してもなお確認された
  • 入院した54人のうち53人はワクチン未接種だった
  • 入院した人とそうでない人とで投与された血漿中の抗体レベルは同様だった
  • 入院後死亡した3人はすべて対照群の人だった
  • 有害事象の発生率は両群で同様だった

ってことで、Covid-19から回復した人の血漿を投与された場合には入院の相対リスクが54%も低下していたみたいで、早期治療法として有効かつ安全な選択肢なのかもなぁってとこですね。

さらに、プレプリントには含まれてなかった分析結果として、「回復期血漿を投与するタイミングも大事!早ければ早いほどよさそう!」ってなことも指摘されてます。つまり、

  • 陽性診断後5日以内に回復期血漿を投与された場合には、入院リスクを下げる効果が80%にも達してた

だったそうで、なんだかモノクローナル抗体のときと同じような傾向っすね。

研究チーム曰く、

この結果は、高力価のSARS-CoV-2回復期血漿は、低コストで広く入手でき、ウイルスの変異に迅速に対応できるという利点を持つと同時に、Covid-19の有効な早期治療法として強く支持される。

とのこと。もちろん、デルタやオミクロン等の変異に対する効果は別途検討が必要でしょうが、特にリソースが限定的な場合とかにはこの治療法のポテンシャルは結構高いかもしれないですな。

ちなみに、米国赤十字社は、「回復期血漿として利用できる献血を利用できる献血を特定するために、一時的にすべての献血においてCovid-19抗体を検査している」ってなことを今年2月に発表してたりしまして、必要とする人がよりアクセスしやすくなる未来も近いのかもしれませんねぇ。

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Tomohiro Okugawa

科学的知見を自分の体で試して、日常生活に活用していく人。知識の収集が趣味で一般向けにその共有をしたいと思って執筆中。京都大学環境衛生学等。

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