子供が大人よりCovid-19で重症化しにくい理由

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子供は大人より重症化しにくい!再感染のリスクも低い!ってのはよく知られているところ。では、それって生物学的にどんなメカニズムなの?ってあたりを調べた論文(R)をチェックしておきましょう。ここら辺がわかってないと、「年齢を問わず同じ回数ワクチンを打つべき!」みたいな単調な考えになっちゃって、子供に対するブースター接種の必要性の議論等についていけなくなっちゃいますからね。

これはバーミンガム大学などの研究で、3~11歳の小児91人と20~71歳の154人を対象に、季節性のhCoVおよびSARS-CoV-2に対する体液性・細胞性応答を調べて、年齢による免疫応答の違いを調べたらしい。

その結果、

  • Covid-19回復期の子供は、大人よりもSARS-CoV-2とhCoVに対してより強い免疫応答を示していた。特に、β-hCoVに対する交叉反応性抗体は、hCoV間で高度に保持されているスパイクタンパクのS2ドメインに特異的だった
  • 血清陰性の小児では、4つのhCoV特異的抗体の力価は大人よりも低かった
  • スパイク特異的T細胞反応も小児の方が高く、SARS-CoV-2血清陰性小児でもα, β-hCoVに対する顕著な細胞性免疫反応を示した。小児におけるSARS-CoV-2特異的T細胞応答では、IL-2の産生が著しく減少しており、大人よりも小児の方が高度に分化した機能的応答を示していることが示唆された。実際、感染後6ヶ月の時点で、小児のスパイク特異的CD8+T細胞の大半はIL-2-IFN-γ+TNF+の表現型を持っていた
  • さらに、小児におけるより強い適応応答は、Covid-19感染後少なくとも6カ月間維持されており、複数の変異に対しても活性を維持していた(一方、高齢者では、若者や小児に比べて急速に免疫応答が低下していた)。また、スパイク特定的な反応は12か月以降も広く安定していた

だったそう。ポイントは、「小児はSARS-CoV-2に対して、スパイクタンパクに特異性を持つ、強固で交叉反応性のある免疫反応を持続的に実行してるぞ!」ってとこっすね。

また、大人を対象にした他の研究では、「重症者ほど免疫反応も強くなるぞ!」ってのが確認されてましたが、小児の場合には軽症でも成人より強い免疫反応を示していたみたい。Covid-19の重症度は免疫反応の強さだけでは測れないんじゃないの?ってわけっすね。

ちなみに、ここら辺の「Covid-19の重症度が小児と大人で何で違うの?」って問題については、以下のような免疫学的な理論が考えられているらしい。

  • 小児の気道におけるACE2受容体の発現が成人よりも少ない
  • 小児のT細胞およびNK細胞のターンオーバー率が低い
  • hCoV反応性・SARS-CoV-2交差反応性CD4+T細胞が豊富
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Tomohiro Okugawa

科学的知見を自分の体で試して、日常生活に活用していく人。知識の収集が趣味で一般向けにその共有をしたいと思って執筆中。京都大学環境衛生学等。

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