Covid-19下でクロノタイプは睡眠・メンタルにどう影響していたのか?問題

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「ロックダウン時の睡眠習慣の変化が気分や幸福度にどう影響を与えたか?」「そしてそれは朝型・夜型によってどう違うのか?」ってあたりを調べた研究(R)が出ておりました。

心身にダメージを与える大きな要因の一つとして、

  • サーカディアンリズムと実際の仕事や学校のリズムのミスマッチ(いわゆる社会的時差ボケ)

があげられることが多いわけですけど、ロックダウンでその縛りが緩くなったんだから自分の好きなペースで睡眠をとれるようになってメンタルも改善したんじゃないの?と考えたわけですね。

これはラジシャヒ大学などの研究で、まず実験デザインをまとめておくと、

  1. ロックダウンしていた2020年8月から9月の期間に大学生1011人を集めて匿名のオンライン調査を実施する

  2. みんなの朝型・夜型度合いを調べる(何時に寝て起きるのが好きか、身体や脳が一番働いていると感じるのは何時か、起きた直後の覚醒度合いはどんな感じか、など)

  3. ロックダウン前とロックダウン中で就寝・起床のパターンがどう変わっていたかを確認する

  4. さらにみんなのポジティブ・ネガティブな気分、ウェルビーイングをチェックする

みたいになってます。そこでどんな結論が出たのかといいますと、

  • 全体の10.7%が朝型、79.3%が昼型、10.0%が夜型に分類された
  • 夜型、昼型の人はロックダウン中の就寝・起床時間が遅くなっていたが、朝型の人はロックダウン前より早く寝て起きるようになっていた。また、夜型の人の方が怒り、混乱、うつ、疲労、緊張といったすべてのネガティブな気分の指標のスコアが高く、ウェルビーイングは低かった
  • 自分の朝型・夜型志向に合わせた睡眠パターンのシフトと、就寝・起床タイミングの前倒しはポジティブな気分と幸福感に関連していた
  • 朝型で就寝・起床のタイミングを早めた人が最も高いレベルのポジティブな気分と幸福感を報告した

というわけで、先行研究ではロックダウンは人口全体で睡眠パターンを後ろ倒しにした!ってのが報告されてたけど、この研究だと自身のクロノタイプに合わせたシフトが行われてたわけですね。

またこれまでは、夜型の人がメンタルに問題を抱えやすいのは社会規範的な時間とクロノタイプが合致してないから、って説明がされてたわけですけど、これを見る限り夜型の人は気分やメンタルヘルスに影響を受けやすい別のメカニズムの影響の方が強力そうだなーとか思いましたね。

もちろんこの研究は横断研究だから因果関係は分からないし、6か月以上前のことを思い出してもらってるせいでリコールバイアスが働いている可能性も高め。大学生以外の他の集団にも一般化できるかは謎ですが、今後サーカディアンの生物学的なマーカーを踏まえた研究には期待したいところっすね。

そんなわけで結論としては、

  • 朝型の人はパンデミック前より早めの睡眠パターンを採用してみる
  • 昼型の人は睡眠時間が短くならないように気を付けつつ、以前よりちょっと早めに寝てみるといいかも(大半の人はこれ)
  • 夜型の人は特に、睡眠以外に別のストレス対策を意識しておいた方がよさそう

ってところを意識しておくと精神衛生上のメリットを得られるのではないかと思います。まあ結局のところ自分のクロノタイプをベースにしつつ1日の気分や集中レベルにあわせて修正していくしかないわけですけど、一つのガイドラインとして使ってみていただくといいんじゃないかと。

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Tomohiro Okugawa

科学的知見を自分の体で試して、日常生活に活用していく人。知識の収集が趣味で一般向けにその共有をしたいと思って執筆中。京都大学環境衛生学等。

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