Covid-19の認知機能への影響。最新データまとめ

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「Covid-19は認知にどんなダメージを与えるんだろう?」ってところを調べたメタ分析&システマティックレビュー()が出ておりました。感染から数か月たっても頭がぼんやりする!記憶力が悪くなった!ってのはよく聞く話で、過去のスペイン風邪やSARS、MARSなどでも脳や中枢神経系にダメージが生じてたという報告は複数ありますんで、これは気になるところっすね。

これがどんな研究だったかといいますと、

  • 2020年1月から2021年12月までに発表された27件の研究をピックアップ
  • 認知障害の既往のない成人のうち、2103人のCovid-19患者と506人の非感染者のデータを比較してCovid-19が認知機能にもたらす影響の知見をまとめる
  • さらにMoCAのトータルスコアに基づいてメタ分析を実施
  • Covid-19患者の平均年齢は56.05歳で、急性期から感染7か月後までの評価を行った。また、13件がコホート研究、7件がケースコントロール研究、5件がケースシリーズ、2件がケースレポートだった。

まあもっと長期のフォローアップは必要だし、実験デザインもばらばらだしで結論を出すにはまだ早い感じですが、最新の知見を整理しておく分には参考になりそうっすね。

というわけで、結果は羅列しておくとこんな感じです。

  • 中等度の患者の急性期では、感染から10日後くらいまで認知機能の低下が続き、16日後くらいから回復し始めていた。認知機能の障害発生率は軽度から中等度の患者で61.5%、中等度から重症のコホートでは80%くらい

    具体的には、言語の流暢さ、ビジュアル認識、記憶、実行機能、注意のタスクにおいて対照群よりもスコアが低かった
  • 回復期の患者においても、全体的な認知機能、記憶、注意、実行機能等の面でスコアが低下している傾向があった

    若年層(平均年齢42.2±14.3歳)を対象とした研究では、COVID-19患者のMoCA低下が報告されているが、これは神経精神症状や疾患の重症度とは相関していなかった
  • 中等度から重症患者を対象に、感染から7か月後まで追跡した研究では、高い頻度で認知機能の障害が確認され、具体的には処理スピード(18%)、実行機能(16%)、発話の流暢さ(15%)、記憶の間違い(23%)などが見られた
  • 2時点以上で測定が行われた研究では、SARS-CoV-2陽性の人は陰性の人に比べて認知の低下リスクが18.1倍高かった(心血管疾患リスク要素、睡眠の質、うつ、教育レベル等を調整済み)
  • 軽症から中等症のCOVID-19から回復した若い患者18人(平均年齢42.11歳)を対象に、入院期間、長期的に持続していた身体症状の数等で重症度を評価したところ、どの変数も認知能力とは相関していなかった。

    しかし、全体的な認知機能障害と実行機能障害は、いずれも呼吸器症状の重症度や肺機能の低下と相関していた。逆に、退院後10 日~35 日の患者を対象とした研究では、酸素供給を必要とした患者は、言語記憶、視覚記憶、注意、作業記憶等のスコアが低かった。

    また、ICU患者と非ICU患者の回復後を比較したところ、ICU患者の方が有意に重症で広範な障害を報告していた
  • MoCAのスコアを使ったメタ分析によれば、Covid-19感染者はMoCAトータルスコアが低かった(MD = -0.94, 95% CI -1.59, -0.29)。無症状の若年患者(平均年齢36.2±11.7歳)を対象とすると、MoCAにおいてはスコアの差を認めなかったが、サブグループの認知機能評価では障害が認められた。

    1ポイントの差というと臨床的にはたいしたことはなさそうだけど、平均36歳くらいの人を対象にした研究も含まれていることを勘案すると影響は小さいとは言えなそう
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Tomohiro Okugawa

科学的知見を自分の体で試して、日常生活に活用していく人。知識の収集が趣味で一般向けにその共有をしたいと思って執筆中。京都大学環境衛生学等。

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