【Covid-19下の心理学最新データ3選】IQと生活満足度、月曜日の4.7倍のショック、軽症から6か月後の症状

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コロナとかパンデミック関連の知見まとめです!

頭がいい人の方がCovid-19下における生活満足度が低い説

「幸福のサバンナ理論」なんて言葉もあるように、現代社会ではIQが人生に多かれ少なかれ違いをもたらすと考えられているわけです。そんなところで新しいデータ(R)では、「Covid-19パンデミックが心理的にもたらした影響って知能によって違うんじゃない?」って話になってて面白かったです。

これはロンドンスクールオブエコノミクスなどの研究で、英国の2つの全国的なデータセットを分析して、幼少期の知能テストのスコアとCovid-19流行期を含む複数の時点での人生に対する満足度の関係を探っております。幸福のサバンナ理論で前提となっている先祖の環境では全くあり得なかった状況において個人の幸福がどうなるのかをチェックしたってわけですね。

その結果どんなことが分かったのかといいますと、

  • 一般的に知能の高い人は、知能の低い人に比べて生涯を通じて人生への満足度が高かった。ただし、それは知能が高いからではなく、収入が多く、結婚しており、より健康的であることに由来していた
  • しかし、Covid-19発生直後では高知能者の方が低知能者よりも満足度が低いという現象が初めて発生した。実際、2020年にはIQが90以上の人は満足度が低下した一方、IQが90未満の人は満足度が向上していた
  • この結果は、性別、学歴、収入、婚姻状況、自己評価による健康状態をコントロールした後でも維持された

って感じだったんだそう。なんでこんな現象が起こったのか?って点に関して研究チームは、「知能の高い人は進化的に新しい状況のネガティブな結果を予測できるからじゃない?」って推測しておりました。頭のいい人ほど最悪の結末をあらかじめ推測して備えておく能力が高いんじゃないのか、と。知能の低い人ほど楽天的ってなデータとも一致しますな。

とはいえ、悪いことがあると頭のいい人はいつまでも不幸かというとそうでもなくて、研究チーム曰く、

我々の仮説では、進化的に新しいネガティブな結果のほとんどが実際に経験されるものではなく、予測される最初の段階で最も苦しむ可能性が高いと考えられる。実際、知能が高い人ほど、そのような進化的に新しい状況による負の結果を軽減することができるはずである。つまり、知能の高い人ほど、進化的に新しい状況が続くと、幸福の不利益が減少するはずである。

とのこと。頭のいい人はなにか悪いことがあった初期段階で最悪の状況を想定するんだけど、その後はそこまで悪くなくない?って側面も見出したりうまく対応したりするお陰で長期的にみればむしろ幸福になる可能性も高いのでは?と。

まあこれは一国のデータしか用いてないんで他の国家でも同様に当てはまるかは謎ですが、今後の研究も気になるテーマですねぇ。

パンデミックのショックは月曜日の4.7倍?

「Covid-19下の世界的な気分の変動はどんな感じだったの?」みたいな研究(R)が出ておりました。これは2020年1月から5月の間にTwitterに投稿された、約100か国、6億5400万件のツイートを分析したもので、ツイート中の表現から世界中の人々の感情の変遷を調査したんだそうな。事後的にアンケートで測る伝統的な方法ではなく、リアルタイムの感情を大量に収集・分析したわけっすね。

その結果、どんな傾向が確認されたのかといいますと、

  • 全体的に、2020年初期にはポジティブな感情が急激に減少したが、その後はパンデミック前の状態に徐々に戻っていった
  • この気分の変化は、これまでの公害、異常気象、自然災害に起因するものよりも格段に大きかった。実際、Covid-19パンデミックによる反応は異常気温に対する反応の3~4倍の変化を示し、特定の地域でハリケーンが発生した日よりもさらに大きかった
  • 感情が最も低下したのは、オーストラリア、スペイン、イギリス、コロンビアで、逆にパンデミックの影響を最も受けなかったのは、バーレーン、ボツワナ、ギリシャ、オマーン、チュニジアだった
  • 全体的にみればロックダウンは気分のアップダウンにほとんど影響を与えていなかった(安心感と身動きが取れないストレスという2方向の影響によるものと考えられる)
  • 感情の回復パターンを評価したところ、感情の落ち込みの半分を回復するのに29日かかった国もあり、18%の国はCovid-19流行前の状態まで回復していなかった

って感じだったんだそうな。ここで面白いのが、パンデミック前における1週間のSNS上での感情の起伏と比較している点。通常は週末に最もポジティブな感情を呟き、月曜日に最もネガティブな感情をツイートしていたところ、パンデミック発生により人々の感情は従来の週末と月曜日の差の4.7倍もネガティブに変化していたそう。研究者はこの現象を「パンデミックは世界的に超超悪い月曜日のようなものだ」とコメントしておりまして、パンデミックのダメージを改めて痛感した次第です。

SARS-CoV-2感染から長期間経っても見られる心身の症状

「6か月以上っても持続するCovid-19の症状を心身両面から調べたぞ!」ってデータ(R)が出ておりました。PASC, long Covidには実際のところどんな症状があるの?ってわけですね。

これはSARS-CoV-2感染者436人を対象にした研究で、感染前、感染中、感染後6~11か月後の肉体的健康、QOL、心理的苦痛なんかを追跡したんだそう。

その結果、

  • 44%が長期追跡期間中にCovid-19の症状が持続していると報告した。もっとも重い症状として挙げられたのは、疲労(31%)、息切れ(20%)、集中力の欠如(9%)、嗅覚喪失(9%)だった
  • 長期追跡調査時に症状が続いていないと答えた221人のうち、55%は診断後1か月未満、33%が1~3か月、9%が3~6か月、2%が6か月以降に回復したと報告した
  • 持続的な症状のスコア(0~3点で採点)は、33%が集中困難、32%が息切れで1点以上だった。また、対象者の31%は少なくとも1つの症状で2以上のスコアを報告した。さらに、4%の参加者が睡眠障害、11%の参加者が疲労感の指標でスコア2以上を認めた
  • Covid-19の持続的な症状の存在は健康状態やQOLの低下、心理的苦痛の増加と関連していた。これは年齢や人種、教育レベルや収入を調整してもなお維持された

だったそうで、よく言われる味覚や嗅覚の喪失はそこまで多くないものの、どこかしらの面で症状が6か月以上持続する人は結構多くて、それは心理的にも大きなダメージになってるんだよーと。まだまだCovid-19には謎な点は多いんでとにかく感染しないことが一番なんでしょうが、感染してしまったら症状に応じた個別のアプローチが必須なんじゃないかなーってことで。

3.5
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Tomohiro Okugawa

科学的知見を自分の体で試して、日常生活に活用していく人。知識の収集が趣味で一般向けにその共有をしたいと思って執筆中。京都大学環境衛生学等。

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