long Covidの有病率ってどのくらいなの?を170万人分のデータから調べた研究のお話

FavoriteLoadingAdd to favorites

最近では急性期の問題と同じかそれ以上にSARS-CoV-2感染から一定期間経過後の症状(いわゆるPASC、long Covid、post Covid)が注目されているわけですが、新しい研究(R)は「ポストCovid-19に苦しむ人の割合ってどのくらいなの?」ってあたりを大規模なデータを使って調べてくれておりました。

これは2022年3月13日までに発表された4500件の論文のうち、条件を満たした50件をまとめた系統的レビューと41件分のメタ分析となってまして、コロナ感染から少なくとも28日が経過したSARS-CoV-2感染者の症状を評価したんだそうな。合計16か国、168万人分の患者のデータが含まれてまして、過去最大規模の分析といっていいでしょう。

ここでの有病率の定義は「フォローアップ期間中に少なくとも一つ何らかの持続的な症状を有していること」とされておりまして、感染からの経過日数、患者の居住域、リスク因子なんかも調べた結果、以下のようなことがわかりました。

  • 全体的に、感染から28日以降に症状を有している人の割合は43%で、急性期に入院していた人の方がその割合が大きかった(54% vs 34%)
  • 国別では、アジアで最も有病率が高く、北アメリカで最も低かった(アジア:51%、ヨーロッパ:44%、北アメリカ:31% ※アフリカ等のデータが含まれていない点には注意が必要)
  • 男性に比べて女性の方がポストCovid-19の有病率が高かった(37% vs 49%)
  • 感染からの経過日数別では、30日後より60日後の方が有病率は低かったが(37% vs 25%)、90日後より120日後の方が有病率は高くなっていた(32% vs 49%)。しかし、120日後までフォローアップした研究は入院患者を中心としたものが多かった点が影響した可能性も高そう
  • 大体23種類ほどの症状が認められ、そのうち最も多く報告された症状トップ5は以下のような感じだった
    1. 疲労感(23%)
    2. 記憶の問題(14%)
    3. 呼吸困難(13%)
    4. 睡眠の問題(11%)
    5. 関節の痛み(10%)
  • ポストCovid-19の主なリスク因子として、女性であること、喘息持ちであることが確認された(それぞれOR=1.57, 2.15)。そのほかにも一部の研究では、年齢、急性期の重症度や症状の数、疲労感、呼吸困難、筋肉痛、頭痛、嗅覚障害、現在の肥満、甲状腺機能の低下等との関連も報告されていた

ということで、以前のメタ分析で示されていた、「long Covidの有病率は80%近い!」ってな結論(R)よりはかなり低いですけど、それでも感染者の約2人に1人は感染から1か月程度たっても何らかの症状を抱えてるというわけですね。

現在までに世界の約5億人の人が感染していることを考えると、過去または今現在2.5億人もの人がlong Covid(PASC)を経験してるってのはやっぱりすごい事態だよなーと実感しました。また、今後もコロナは長期にわたって健康、社会、経済に大きな影響を及ぼしそうですねぇ。

Global Prevalence of Post COVID-19 Condition or Long COVID: A Meta-Analysis and Systematic Review
─More than 50 Long-Term Effects of COVID-19: A Systematic Review and Meta-Analysis

3.8
Rated 3.8 out of 5

Tomohiro Okugawa

科学的知見を自分の体で試して、日常生活に活用していく人。知識の収集が趣味で一般向けにその共有をしたいと思って執筆中。京都大学環境衛生学等。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

求む──私たちと一緒にエビデンスを発信しませんか?
Homo Evidenceライターになる
あなたが持つリテラシを発揮してみませんか?
Homo Evidenceライターになる