ウェアラブルデバイスでCovid-19の進行を追跡できるんじゃない?って研究

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「スマートウォッチで健康状態をトラッキングしよう!」みたいな話は最近よく耳にしますけど、新たにミシガン大学から「スマートウォッチでCovid-19感染や重症化の判断もできちゃうんじゃない?」みたいな話(R)が出ておりました。これが可能であればリアルタイムかつ低コストに個別の追跡ができるようになるわけで、早めに手を打つのに役立ちそうですね。

この研究ではまず、43人の研修医と72人の大学生・大学院生を対象に、Covid-19の症状発現前後の心拍数のデータをFitbitから収集しております。

単に心拍数といってもその数値は1日の間で結構変化するもの。例えばストレスを受けた時に発生するコルチゾールによって上昇する心拍数は、1日の心拍数の増減リズムよりも短い時間スケールで生じることが知られていたりして、心拍数ってのは生理的なシグナルを高い感度で反映しているんですよね。

で、全員の毎日の心拍数の位相、振幅、平均等を調べてCovid-19感染前と感染中にそれらのパラメータがどのように変化するのかを追跡したところ、以下のようなことが確認されました。

  • 症状発現日とその翌日に1日の平均的な心拍数が増加する傾向があった(発熱に起因するものと考えられる)。しかし学生群では、日中の心拍数の上昇は症状発現の2~3日前にピークに達していた
  • 平均的な心拍数は症状発現の数日後に低下しており、これは横になっている時間が長くなるといった理由が考えられる
  • 症状発現の0日目、1日目には自己相関パラメータが増加していた。これはコルチゾールに関連する持続的なストレスの上昇に起因すると推定されている
  • 症状が出始めると1歩当たりの心拍数が増加していた。また、咳のある患者では0~14日後の1っぽ当たりの心拍数がさらに高くなっていた。この結果は1日の総歩数を調整してもなお維持され、この期間には心臓の負荷が高くなり、呼吸機能は低下していることが読み取れる
  • Covid-19の症状が発現する前後で心拍数の概日リズムの位相の不確実性が増加していた
  • 平均心拍数、自己相関ノイズ、心拍数の上昇、概日の位相の不確実性、振幅、非相関ノイズといったパラメータを使用したら、AUCは0.75だった

だったそうです。心拍数という一つの信号であっても、複数のパラメータに分解することによって多方面から生理学的なシステムの状態を把握し、病気のトラッキングに役立ちそうってわけですね。

まあそうはいっても同じような傾向はインフルエンザのような疾患でも確認されてるんで、「Covid-19かインフルエンザか?」みたいな細かい判断に使うのはまだ難しそうであります。また、年齢、性別、BMIなどの共変量や季節性の効果も調べられてないんで、そこらへんも今後の課題ですね。

とはいえ、このアプローチは他の病気への適用可能性も高そうだし、消費者グレードのウェアラブルデバイスでここまでのデータ分析ができるってのは面白い時代ですねぇ。

Consumer-grade wearables identify changes in multiple physiological systems during COVID-19 disease progression

4.3
Rated 4.3 out of 5
Tomohiro Okugawa

科学的知見を自分の体で試して、日常生活に活用していく人。知識の収集が趣味で一般向けにその共有をしたいと思って執筆中。京都大学環境衛生学等。

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